雲水御用達!用語集

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永平寺では坐禅や作務などの実践の修行の他に、祖録や古典、お経を学ぶ「内講」も行われる。

内講中は上山順に後ろから並ぶため、古参おっさん程後ろの方に坐ることになる。
正座で行われるため、講義の内容はBGM程度、一時間以上に及ぶ正座と、眠気からくるガチ落ちとの闘いが内講の主な焦点となる。
(長時間に及ぶ内講は坐蒲を持参して坐禅を組んで聞くこともある)

ガチ落ちした場合は後ろの方に坐っている古参おっさんから後で呼びださることになるのは言うまでもない。
永平寺にはたくさんの寮舍があるが、一年目が転役する一年目寮舍と、一定期間以上永平寺に滞在しないと行けない寮舍がある。それらを二年目寮舍という。

知殿寮、侍真寮、堂行寮など、永平寺全体をしっかり把握し特殊な訓練を必要とする寮舍の他、国際部、受処、参禅系などの娑婆と接することの多い寮舍も二年目寮舍である。

廻廊掃除の時に行う外の作務(主に掃き作務)のことをいう。
各寮舍から二、三人は日天作務に行く。

ニッテンに参加するとつらく厳しく怒鳴られる廻廊掃除に行かなくてすむので寮舍の中で誰が行くかいつも言い争いになったものだ。

法の如く、つまり天地の道理にかなったもののことを如法とよぶ。

転じて食品等をよぶ時、「如法のもの」といえば人参、白菜、キャベツ等の野菜「不如法のもの」といえば、肉や魚、ネギ、ニンニク等をさす。
日中諷経を省略して日中と呼ぶ。

日中は午前十一時から仏殿で仏頂尊勝陀羅尼を読む。

仏頂尊勝陀羅尼についてはウィキペディアに詳しく記されているがこんなにありがたいお経だとは正直、知らなかった。

しかし今までの人生で「百鬼夜行に巻き込まれたことはないし、巻き込まれたという話を聞いたこともない」ことは殊更、強調しておきたい。
永平寺では時計の代わりに山内の至る所にある「鳴らしもの」の音で行事がすすんで行く。
広く知られている大梵鐘や木魚、磬子の他、雲版、木版など覚えきれないくらい様々な鳴らしものがある。
一つの鳴らしものを合図に、次の鳴らしものが鳴るのでこれを間違えると全山に迷惑をかけてしまう。観光客が誤って鳴らしてしまい、怖い古参和尚達が現場に急行することがしばしばある。

自分も数々の鳴らしものをケチラシたが、その中でも最大のケチラシは平成十八年のお授戒で不老閣猊下の入堂の七下鐘を鳴らし忘れたというものだ。娑婆で例えると結婚式の新郎新婦入場でファンファーレが鳴らない、とというのより尚悪いくらい。

国際部時代からとてもお世話になっている周運さんという古参和尚がかわりに駆けつけて法堂鐘をならしてくれたが、当時殿長だった耕志兄は顔が真っ青になり卒倒しそうになったという。
寝ることも大切な修行の一つです。
永平寺では失敗することを「ケチラス」といい、失敗の事実を「ケチラシ」という。
お米を炊くのをケチラした、といった場合お米を炊き忘れたということになる。

ケチラシの中でも特に寝坊によるものを「ネチラシ」という。

公務等で二時間前起きで、一時半に起きなくてはいけなかったとしよう。

ふと気づくと時計はもうすぐ三時にならんとしている・・・
こんな時の雲水の反応は十中八九

「ヤベェッネチラシた!」

である。
永平寺で最もよく使われる言葉の一つで、「いつも通り」の意味。
「暁天如常」といえば暁天坐禅はいつも通り朝三時半からですよーということ。
転じて日常の様々な場面でつかうことができる。娑婆でいう「フツーに」にちかい。





おまけ 娑婆での使用例
#行きつけの美容院で・・・

美容師 「だいぶのびましたね・・・今日はどういった感じにしましょうか?」

星太  「如常で」

美容師 「承知致しました」





小庫院のばっちゃんのひとり。修行僧ではなく普通の人である。

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