今日の禅語:「豆腐のビル」
手のひらの上にのる豆腐は作れるけれどもビルの大きさの豆腐は崩れてしまってつくれません。
身体の大きさや眼、耳、鼻の位置、骨格なんかも全て重力、地球と太陽の距離など様々な要因で決定されています。伝統の身体作法には代々工夫され伝えられてきた「そうであるべき理由」が凝縮されているのです。すぐにはわからなかったとしても。
坐禅は痛いものだと誤解されるけれども、慣れれば最も重力に逆らわない一番楽な姿勢なんです。動くという字は重さの力と書きます。重力を味方に付けた動きは無駄がなく美しい。永平寺では食事作法ひとつとっても重力を最大限利用しています。無駄がなく流れるように美しいのです。
道元禅師の中国から帰国後の第一声が「空手還郷、眼横鼻直」だったと永平広録に記されています。経典や仏像などは持ち帰らず手ぶらで帰ってきた、そして眼は横に鼻は縦についているといったわけです。
あたりまえのことです。
が、そこに禅の神髄があるといえるでしょう。
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