雲水喫茶の日替りマスター!!

A2

昨夜ある人と渋谷で会いました。

彼の名前はイアン。初めて出会ったのはフランクフルトで開催されたニッポンコネクションという日本映画祭の会場でお茶を飲んでいた時のこと。偶然同じテーブルに坐ったのがイアンでした。なんとなく気になり、連絡先を聞き、日本で会うことになったのです。

イアンは少年のようにまっすぐです。
わかることは、わかる、
わからないことは、わからない、
不思議に思うことは、不思議に思う、
感じたことを素直に身体で表現せずにはいられない、そんな目をしています。

彼は今年「A2」というドキュメンタリー映画を撮りました。福島県で行われた甲状腺検査によってA2判定が出た子供達、その親達を撮った作品です。
("A2"とは甲状腺検査によって5ミリ以下の結節や20ミリ以下ののう胞が認められた場合の検査結果の呼び方。結節、のう胞なしの判定結果は"A1"、5.1ミリ以上の結節や20.1ミリ以上ののう胞を認めるものは"B"、直ちに二次検査を要するものは"C"と呼ばれているそうです)
「A2」を撮った後も彼は毎週福島にいっています。
その日も渋谷に現れたのは21時半過ぎ。福島から帰った後でした。

福島から東京まで、つながっている電車にゆられ、
ゆられる電車が東京に近づくにつれ、複雑な想いになると、流暢な日本語でイアンは言います。

「福島では原発事故の影響で実際に家に帰れない人、外で遊べない子供達、毎日大きな不安を抱えて生活をしている人々がいる。今までと同じ暮らしはもうできない。それが、東京に近づくにつれ、同じ電車の中が、原発の事故などまるで何もなかったかのような雰囲気に変わっていく。それがただ、悲しい。」

静かに、彼はレモングラスのハーブティーをカップに注ぎました。




原発事故。全然わからないことだらけです。


メルトダウンを起こした福島の原子炉がどのような状態になっているのか。
私は見たことがありません。
機械でも近づくことができないほど有害な高濃度の放射性物質をどのように処理するのか。
私には想像もできません。
海に漏れだした汚染水が、どのように海産物を汚染しているのか。大気中に広がり続ける放射性物質がどのように農作物を汚染しているのか。
本当に不安です。

本当に不安なのにどうしたらいいのか、全然わからないことだらけです。

でもどうやら「どうしたらいいのか全然わからない」のは私だけではないらしいということは最近ようやくわかってきました。

この地球全体の生命に関わる自体を前に、どうしたらいいのか全然わからない。
こういうのを「緊急事態」というのではないでしょうか。
世界は今、緊急事態を前に何をするべきなのか。
そんなことを考えさせられる映画でした。

子供達も、孫達も、その子供達も孫達も、
みんな元気に笑って暮らせるご縁が続いていきますように・・・

星覚九拝




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「A2」について

ストーリ: 福島の子供達の多くは、メルトダウン後も避難させてもらえなかった。嚢胞としこりを持つ福島の子供達の数が増加してきている。彼らの未来に対して意味するものは?  

ホームページ:http://www.a2documentary.com/

A2.JPG

2013/06/30  by

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