昨晩の明治神宮前。
表参道で立ち寄ったスタジオの本棚に、ベルリンを発つ直前にある人から勧められた本を偶然発見しました。
E.F.シューマッハーの「スモール イズ ビューティフル」(とマハトマ・ガンジーの「わたしの非暴力」、長くなるので今回は触れません)。
出版されたのは1973年。世界的なベストセラーになっている本です。
40年以上前に書かれたとは思えないほど現在の世界の問題を的確に指摘した言葉が迫ってきます。
ひと際目を引くのが「仏教経済学」という章。
実はその「ある人」が私に本書を薦めてくれた理由も
『今後欧米の人から「仏教経済学」についての切実な問いに直面するであろうから』
でした。
「なぜ現代社会は行き詰るのか。どうすればいいのか?」
今、さらに多くの人が真剣にその問いに向き合わざるを得なくなっています。
たしかに仏教はその問いへの明確な答えを導くのに最もふさわしいものでしょう。
この本を通じてシューマッハーが伝えたかった内容を、より多くの人が理解すれば、世界は全く変わるだろうな、と思います。
しかし私は不思議に思うのです。
ここまでの大著による警鐘にも関わらず、なぜいまだに「仏教経済学」は大きな流れとして実践されていないのでしょうか。
訳者まえがきには、シューマッハーが当初「home comers」(故郷に還る人々、という意味でしょうか)という題名を考えていた、しかし編集者は「スモール イズ ビューティフル」という題を選んだ、そのことがベストセラーの決定的要因になったと書いてあります。さて、これはよいことだったのでしょうか。
あなたが本の著者だったらたくさん売れる本と、そうではない本、どちらを書きたいですか?
日本の小さな本棚にも置かれているほどのビッグセラーになってしまったスモールイズビューティフル。
シューマッハーが今も生きていたら、この矛盾になんというでしょうか。
みなさんも機会があれば是非本著を読んでみて下さい。
そうそう、もどかしい矛盾は、他人事ではありません。
陽が沈んだら食べるなと言っておきながら深夜のチョコパイに小躍りせずにはいられない、今、目の前の矛盾。
明日から禅の旅で北陸に向かいます。
みなさんもどうか雪や寒さに気をつけて、好い一週間になりますように・・・!
うん、でも、やっぱり日本のお菓子の美味しさは世界一です!
星覚九拝
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