禅僧にとっての言わば食卓とも言えるのがこの浄縁。
坐禅堂の畳のフチにある木の部分でとても神聖なものとされている。
食事をするときはこの上に
応量器を置くため浄縁に手を触れることは禁じられている。坐禅をするため
単の上に上がるときも作法に従って手足を浄縁につけないようにして畳の上に上がる。
ある夏の昼間、人気がないのをいいことにこれを破って浄縁に坐っている雲水がいた。
たまたまやってきた古参に見つかった彼は即座に引きずり下ろされ、連れて行かれてしまった。
その後のことは思い出すのも恐ろしく、ここに書くことを遠慮せざるをえない。
従って雲水に撮って浄縁の上に立つことは、仏像の上に立つのと同じくらい、想像すらできないことなのである。