雲水喫茶の日替りマスター!!

応量器飯台 パリの禅道場にて

先月天心禅兄とパリで行った応量器展鉢と講演。なんとも書けない想いが溢れています。風化させるには惜しすぎるとても貴重な時間だったので、徒然に記録だけしておきます。

そもそも応量器飯台を永平寺の僧堂以外の場所でみせる試みはアーティストで永平寺の修行仲間である天心さんの『日常茶飯事』というイベントから始まりました。

日本に住んでいた時に東京で開催された『日常茶飯事』に浄人(給仕役)として参加させて頂いたのをきっかけに欧州に渡ってからも不思議なご縁が続き、パリ、ベルリン、ポズナン、そして再び今回のパリと4回目の開催になります。

今までとの違いは、開催場所が曹洞宗の宗務庁のウェブサイトにも一番にのっているヨーロッパで最も大きな道場のひとつだということ。毎日たくさんの男女がZENを実践しているところに、欧州に来た名もない雲水達がどのように迎えられるのか、とても興味がありました。

イベント前日に、ギさん(僕も最初はえ?と思いましたがギ、さん、です)という方にあって道場を案内してもらいました。
道場は三階建てになっていて一階には講堂、縫製室があります。
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二階は坐蒲や着物等がきれいに掛けられている男女の更衣室、客室と、絨毯に畳が何枚かしかれた美しい坐禅堂がありました。三階には宿泊のための部屋や客室、そしてみんなが集える大きなテーブルが置かれたリビングルーム、応量器が並べられた棚、そして広い典座寮(キッチン)があります。

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出会う人は皆笑顔でとても親切です。合掌をして迎えてくれることがとても嬉しいのです。
ギさん、天心さんと講堂で翌日の打ち合わせや、道具の準備をしました。

イベント当日は坐禅堂で11時からの坐禅に参加して、一緒に般若心経を唱えます。
他の皆は三階で食事をして、僕は天心さんと『日常茶飯事』の準備をしました。

14時半からの応量器飯台には思ったより多くの人達が来てくれました。
せっかちなフランス人が静かに飯台を観ていてくれたので驚きです。
終わった後、1時間程の講演と質疑応答をしました。

黒人の禅僧(禅の扉は誰にでも開かれていると言いながら僕は黒人の禅僧に実際出会ったのはこれが初めてでした)の方が日本の全ての「道」に通じるとても美しい動きだと言ってくれたのがとっても嬉しかったです。
他にも心に響いたと言ってくれる人がたくさんいて、正直ほっとしました。
前日にギさんに「欧州のZENは日本の禅とは違う」とはっきり言われていたものですから。

欧州では1967年に渡欧して禅を広めた日本人の禅僧、弟子丸泰仙老師のお弟子さん達が大きなサンガを形成しています。ギさんの物言いは少し強く聞こえますが、自分たちの受け継いできたものを大切にする心はとても素敵だと僕は思うのです。

違いを認めながら異文化交流をするとき、縁を感じるよろこびが頼もしい光となります。
それにはまず、色々な人と実際に会って一緒に坐ることです。一緒に生活をすること、一緒に食事をすること。
僕らは日本の禅も大好き、欧州のZENも大好き、みんなが一緒に仲良く坐るのが大好きなのです。
天心さんと、夜遅くまでとりとめのない話をしました。
飛び交う言霊。やはり坐って伝えていくしかないのでしょう。
今回のパリでのイベントが欧州と日本をつなぎ、世界の人々の心をつなぐひとつのきっかけになったらとおなかの奥から願っています。

ひょんなことから、日本でたまたま知り合った弟子丸泰仙老師の娘さんがその日わざわざ日本から電話をくれたのもとても嬉しかったです。

弟子丸老師はどのような想いで欧州に禅を伝えていたのでしょうか。そんな想いを馳せながら・・・



衣かけノートルダムで鉢展げお経のリズムでセーヌを辿る

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2012/10/05  by

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