雲水喫茶の日替りマスター!!

仏棚のすすめ

「仏棚(ほとけだな)」についてのお問い合わせのメールをいくつか頂いています。
仏棚とは大切なものを置くところです。
お寺の本堂のように背筋が伸び、心がスッと気持ちよく調う空間を日常のなかに作ることによって、毎日が変わってきます。仏壇や神棚、祭壇をつくるのはちょっとハードルが高いという人にもおススメです。

私が仏棚を作った理由は、永平寺を降りて都会でも継続して坐禅をしようとした時に最も難しかったのが環境を調えることだったからです。坐禅は独りではできません。散らかった環境でもできません。まず朝起きれない、すぐに気になる様々な雑事に追われて毎日が過ぎ去ってしまう。お寺では息をするのと同じくらい自然に坐禅をしていたけれど、どれだけ守られた環境にあったのか思い知らされました。

心地よい気に包まれて毎日を送るには、掃除をして空間を調えること、つながりを感じる感謝の作法を実践することが必要だと気づいたのです。かといって都会の普通のアパートに須弥壇はもちろん、仏壇や神棚を作ることはできません。そこで作ったのが仏棚というわけです。そこは自分の心と向き合い、たくさんのご縁のなかに生きていることを感じるための特別な空間となりました。

仏棚をつくるのはとっても簡単。
1、本尊を選ぶ
2、場所を選ぶ
これだけです。

まず、自分の大切な物を本尊としましょう。石ころでも、写真でも、蝉の抜け殻でもいいでしょう。次に場所を選びます。大切なものを置くとしたらどこに置くかを考えて、掃除がしやすく、高い場所を探しましょう。部屋のどこかに「カミ」、つまり上座となる場所ができると、そこだけはキレイに整えておきたくなります。忙しい時でも仏棚のまわりだけは、毎日手入れしましょう。例え部屋の気が乱れていても仏棚が、部屋全体に心地よい気を広げてくれます。

仏棚ができたらお供え物をしてみましょう。一番の基本はお水を供えることです。毎朝一番に新しいお水を供えます。そしてほんの数秒で良いので身体も指先もまっすぐそろえて、心をこめて合掌をしてみて下さい。陽が沈んだら感謝を込めて供えたお水を捨てて巡らせます。

仏棚は世界につながるココロの港です。お土産やお菓子、うれしい手紙をもらったときは、まずは仏棚に供えて送り出しましょう。
お寺ではいただいたものは「仏さまのご縁がいただいた」もの。
お供えしてから必要に応じて下げることで「自分ではなくご縁が頂いた」という意識を持つことができます。仏棚で喜びをシェアすれば苦しい我欲がどんどん消えていき、分かち合った喜びは更に大きな喜びを育みます。

さらにお寺では「香華灯」といって、香りのするもの、草花、灯りを供えます。お気に入りのお香やアロマは部屋全体が清められます。草花の世話をしたり、優しいロウソクの灯りを灯すことで心も鎮まっていくので是非試してみて下さい。

仏棚で祈りを巡らせる機会を日常に持つ楽しさを感じてみましょう。




追伸

仏棚については拙著「身体と心が美しくなる禅の作法」の他、過去に掲載された雑誌の記事でも紹介して頂いていますので機会があればご覧下さい。

また「星覚さんの著書にでてくる仏棚のお地蔵さんはどこで手に入るのですか?」というお問い合わせを頂きました。

永平寺で修行した兄弟以上の仲である和尚が、永平寺を降りる時に渡してくれたもの。
世界のどこにいても大切な修行道場を守ってくれる、私にとっては唯一無二のお地蔵さんです。

「このお地蔵さんは霊験あらたか、そう簡単に手に入るものではありませぬ」と厳かに言いたいところですが

実は全国のデパートで発売中でした。お値段はなんと3150円(税込)。
どうやら京都の老舗のうつわ屋「たち吉」というお店が作っているということがわかりました。

楽天やAmazonなど、なんとオンラインでも購入可能ですが、ひとつひとつ表情が違うので実際に会ってみるといいかもしれません。

ご参考までに・・・

th_仏棚上.jpg

2012/12/28  by

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