雲水喫茶の日替りマスター!!

お客様が食べてしまわれましたので

禅の旅から東京に戻りました。
へっとへとですが心地好い疲れは、日々の素敵なご縁のおかげです。
大変な時程感じるありがたさですね。

色々ありすぎて書ききれないので、先週書いた日記を掲載します。
いつも読んで下さりありがとうございます。
今週も好い一週間になりますように・・・!

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グァババと大量のお湯が流れ込む大きな湯船に浸かり、東京でのめまぐるしい日々に想いを馳せる。
一ヶ月の家賃で家族が365日暮らせそうな青山の高級マンションは、勿論僕のモノではない。

「お茶でも飲んでいきなよ」

以前ベルリンで、近所のフードマーケットで偶然声をかけられた陽気なトルコ出身の青年を家に招待したことがあった。

「うちに泊まっていきなよ」

その彼がFacebookで僕が東京にいることを知り、ゲストルームの鍵を渡してくれたのだ。





昨夜はひさしぶりの三人で呑み屋に行った。
気がねなくソフトドリンクを二杯ずつ飲める、そんな仲間だ。

次々と運ばれてくる肉食系な料理に三人とも少しずつ違和感を感じ始めていた時、
クルミ程の大きさのシャリにフォアグラのようなものが乗った煌びやかなプレートが運ばれてきた。

流石になにかおかしい、という空気はみなが共有していた。が、それでもそれを半分食べた。

美味しかった。

いや、やっぱり何かがおかしい。草食系の僕たちの一体誰がこんな洒落たプレートをオーダーするというのか。
ついにお店の女の子を呼ぶ。

「あの・・・これ何て料理ですか?」

「フォアグラです」

「・・・注文、間違えていませんか?」

しばらくして女の子は帰ってきた。

「誠に申し訳ありません。私が間違えておりました。」

「うんうん、そうだよね」

「しかしお客様が食べてしまわれましたので・・・」

「ええーーーーッ!?」

「・・・」

しばしの絶句。

本気なのだろうか、この女の子は。
何しろそのフォアグラは一皿1600円もする。
クルミ大の小さなフォアグラ寿司が、二皿で3200円。

「食べてしまわれましたので」

「半分返しますから」

仲間の提案は、もはや冗談なのか本気なのかわからない。

「確認して下さい」

「確認します」

そんなやりとりがあったからか、青山への帰路は寒さが骨身に染みた。

六本木の喧噪の中、外苑東通りをルイガノにのって全力で通り過ぎる。
ピカピカの映像やガンガンのミュージックは、より一層風を冷たく感じさせる。

首都高をくぐり、メルセデスベンツコネクションの脇にある信号で止まると
右側にスーバーらしき看板が眼に留まったので、なんだかほっとしてエスカレーターを下った。

アイスコーナーをみると一個300円以上する高級アイスがズラリとならんでいる。
そうじゃない、僕が欲しいのはガリガリ君なのだ。
ようやく顔なじみのアイスモナカとワッフルを見つけたので買い物かごに入れた。

311が近づいている。
原発の事故で広がった孤独と不安は収束どころか益々深く根をおろしているように感じる。

禅寺では薬石といって夜の食事は少なめにします。
18時以降は食事をできるだけ控えましょう。

そんなことを言っておきながら食べてしまうアイスモナカとワッフル。

そういうことだ。

きっとそういうとこなのだ。





「お客様が食べてしまわれましたので」

そういった女の子は、案外正しかったのかもしれない。

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2013/03/10  by

コメント(2)

私もガリガリ君が好きです。お帰りなさい。

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