雲水喫茶の日替りマスター!!

原発とアンペルメンヒェン

木曜日の夕方、ドイツのエネルギー政策を視察に来ている柏崎市議会議員の方々とお会いする機会がありました。

人口約8万人の新潟県柏崎市には世界最大規模の原発があり、七基の原子炉があります。26名いる市議会議員のうち9名の方々が明確に脱原発を支持しており、今回はそのうちの5名の方々が新潟県議会議員、原子力資料情報室、新潟県平和運動センターの方達と共に来独しました。

11キロ先にある原発の煙突が自宅の窓から見えるというある議員さんはこの秋にお子さんが生まれるそうです。ドイツ北東部にあるLubminで15年も続けられている廃炉作業の様子を話して下さいました。私は「原発を廃炉にする」という作業を具体的にイメージしたことがなかったのでとても勉強になりました。

「地元にいる他の17名の方が原発をやめようと言えば、再稼働はないのですか?」と聞くと
「そういう話でもないのですが」と。

「その方達とは仲良しなのですか?なぜ彼らは原発を続けたいのですか?」

「・・・」

楽しい晩餐ということもあり、これ以上の話は聞けませんでした。が、孫子の代で叶わずとも、向き合わなければいけない廃炉の問題を直視する覚悟が伝わってきました。

原発を設計したという技術者の方ともお話をしました。今では退職し、原発をつくっている会社の製品は一切買わないことにしているそうです。

日本で原発をつくっている企業は、日立、東芝、三菱の三社とのこと。
この中のある会社では僕の親友が発電プラント部門で働いています。

三菱財閥の創業者である故岩崎弥太郎氏は永平寺唯一の壇越です。
永平寺では今でも毎朝岩崎家の名前を読んでいます。

「買わない、という行動はとても影響力がある。
でも個人が大々的にやったら殺されるかもしれないね」

冗談だからなのか、本気だからなのか、
子供のようにまっすぐな瞳で彼は言いました。

「私は買わない」

その言葉は否定形であるのに、不思議なことに否定的な感情を全く感じないどころか、
いや、愛でした。
確かに感じたのは、


彼はどんな想いで原発をつくったのでしょうか?
岩崎弥太郎さんは、三菱が原発をつくるといったら何と応えるのでしょうか?
僕の親友はどんな想いで日々働いているのでしょうか?

横断歩道を渡ってホテルに戻る一行を
赤になっては青になるアンペルマンが見送っていました。

今週も世界に好い日々が巡りますように・・・



星覚九拝

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2013/04/22  by

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