この一ヶ月で四度目の北陸。
週末は霜降るほどの冷え込みでしたが、春はそこかしこに感じられます。
十年前、私が永平寺に上山したのはまだまだ寒い三月初旬でした。
雪に深く閉ざされた永平寺の冬は、氷点下まで冷え込みます。
上山すると最初の一週間は全く外に出ず、常に同安居(同じ年に上山した仲間)達と行動します。
たとえば東司に行く時も、廊下で震えながら仲間の雲水が用を足すのを待ちます。
ある日、窓から射し込んでくる光に気づきました。
「あ、アタタカイ」
そこに差し込んでくる太陽の光が、昨日とはあきらかに違っていました。
光の中に雪がとけていくような優しい温もりが混じっていたのです。
私は踊りだしたくなりました。
太陽の光の中の温もりは日に日に確実に大きくなっていきました。
「ああ、人はこれを春の足音と呼んだんだ」
初めてそんなふうに感じたことを思い出しました。
どうかみな、好い春が迎えられますように・・・!
星覚九拝
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