もうすぐベルリンに引っ越してから三年が経ちます。托鉢が気持ちいい季節になってきて、昨年初めて依頼した税理士さんに今年も確定申告の書類を作ってもらいに自転車を走らせました。
「こんなの初めてです。なぜこの人はお金をくれたのですか?」
「いや、私は何もしていません。ただ、くれたんです」
「いえいえ、普通何もしていない人にお金をあげたりしません!」
不思議なやりとりに昨年は目を丸くしながら爪先から坊主の毛先まで私を観察していた彼も、本年はなんだか愉快そうなご様子。
「こんな人他にいませんよ」なんて笑いながら随分手際よく書類を作ってくれた上に、相談時間外(税理士は相談するだけでお金のやりとりが発生するのだそうです)で国税局のこと、為替のこと、そもそもの税金の仕組みのこと、いろんな話をしてくれました。
怪しいヤツと思われてないかな・・・
今年は仕事を引き受けてくれるかな・・・
そんな心配もどこえやら。
不安だった分だけなんだか愉しくなってきて、ウキウキと家路につきました。
広がる青空、カラっと心地よい風。
イヤホンからは渡独三年、先週にしてようやく始めた「聞くだけでOK!ドイツ語レッスン(初級)」のミッシェル先生の声が流れてきます。
いや、違う違う!今はそんな気分じゃないんだよ!
そこで大学生の時に夢中になった"Underworld"の"A Hundred Days Off"を随分久しぶりに聞きながら自転車を漕いでいると、ティーアガルテン(*1)に迷い込みました。
緑の中の砂利道。
音楽は耳元で鳴り続けています。
小鳥の声に混じった枝のこすれる音や、雲が木漏れ日の上を横切る音まで見えてきそうで、私はたまらずイヤホンを外し、臆病なポケットに押し込みました。
サクラがレンガ造りの建物の前で、金色の春の夕陽に照らされています。
今週も好い一週間になりますように・・・
祈諸縁吉祥福壽無量
星覚九拝
(*1面積約210ha、東西の距離約3kmの大きな公園)
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