学校でいう保健室にあたるのがこの延寿堂である。
寿命を延ばす堂、となにやら仰々しいが、雲水も体調を崩すことがある。
特に一年目の和尚は今までの学生生活から一気に伝統的な僧堂生活に入るため、風邪、腹痛は勿論、脚気や手足のしびれ、膝や腰の故障、凍傷にかかるものもいる。
延寿堂では処置がしきれず下山を余儀なくされるものや、山外の病院に運ばれるものもいる。
厳しい修行の中延寿堂に入ると娑婆で風邪を引いた時の家族の対応と同様、一転手厚い看病がまっているので入りたいと何度もおもったが、延寿堂に入る時は山を降りる時だと心に決めていた。
同安居の支えのおかげで三年間なんとか一度も延寿堂のお世話にならずにすんだことを感謝したい。