雲水喫茶の日替りマスター!!

メッセージに救われる

他己のことを思っている間は不安は消えてしまいます。

自分と他人の境がなくなった時に、本当に幸せで満たされた気持ちになるのかもしれません。

といってもそれはそのような境地が継続する類のものではなく、毎瞬毎瞬努力し続けなくてはいけません。


だから道というものには終わりがないし、一瞬一瞬が修行なのでしょう。

そんなことを考えていた時、尊敬する二人の先輩から激励のメッセージを頂きました。

とても心に響いたので紹介させて下さい。


一人は大学時代の先輩。後輩想いでいつも自分を忘れて他の人の幸せを考えている漢(オトコ)です!


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「おれは、30歳でプータローだったときに、ネパールの山奥で子供を授かったことを知ったんだ。(1週間ぶりに携帯電波が繋がって、東京で仕事してるーーーに言われたんだ。笑)


生きて死ぬまでに、妻と子供を大切にしていくことは自分以外には決して担えない。

だから男にとって、世のどんな仕事・役割を担うことよりも、家族を愛することが重要なことだと思ってる。

こどもを責任もって育てる、人任せにしない、妻任せにもしない。


より良い社会を作っていく為には、親が子供を優しくて責任感のある人間に育てる意外にない。夢やら野望やら価値やら経済やらに誤摩化されて、父親業を軽んじて考えては不幸なことだと思う」


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彼のようなお父さんが増えれば地球は平和になるしかないのに!


もう一人は一緒にいるだけでなんだか元気に優しく明るくなれる、近所のお姉さんのような不思議な社長さん(しかも美しい!)です。

彼女からは吉野弘さんの『祝婚歌』という歌を紹介してもらいました。


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「二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい」


         第六詩集(詩画集)「風に吹かれて」

         おしゃべりポエム 風の記憶 著書吉野弘

         続・吉野弘詩集 収録作品


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さてさて、ベルリンでの日記を記しておきます。


ーーーーーーーーーー2011515日(日)ーーーーーーーーーー


モハマドとゆいちゃんのライブに行ってきました。チケットはメッセージ付きの折り鶴でした。

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ちなみに会場はこんなところです(iPhoneアプリPhotosynthで撮影)。

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モハマドは神の手、グリーンハンドとも呼ばれる信じられない技術を持つパーカッション奏者です。

太鼓から響く豊かな音色とビートはとても二つの手から生み出されているとは思えません。

ゆいちゃんはゆいちゃんと言っても10歳の子供のお母さん。

透明感のある美しさとしなやかさと鋭さを持った舞踏家で、まるで彼女の方が子供のようです。


前からAcciが紹介したいと言ってくれていたのだけど予定があわず、今日ようやくお会いすることができました。

アグレッシブで情熱的なコンテンポラリーダンスと本能を刺激するジャンベの音色に観衆は心を奪われ、さらに休憩時間になると窓の外に虹がかかり観衆は大興奮。芸術には神が宿ります。


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ベルリンではアートが「自然に日常に」あります。

ベルリン市長は「貧しいけれどもセクシーな街」だと言っていました。


ここに住む人はむやみに進歩を追い求めていません。ゆったりとした時間の流れの中で「余計なお世話」をやきながら家族や友人を大切にしています。生きるということの本質に迫っている部分があると思います。


まだ明るい21時の夜空に浮かぶ満月を遠くに眺めながら、妻とゆったり一時間ほど歩いて家に帰りました。

川は相変わらず嫋やかに流れています。


ーーーーーーーーーー2011516日(月)ーーーーーーーーーー


新しい週の始まりですから今週も正法眼蔵から気になる言葉を紹介します。

「正法眼蔵坐禅箴」の巻より


「彫龍を愛するよりすすみて眞龍を愛すべし

 彫龍眞龍ともに雲雨の能あること學習すべし


 遠を貴することなかれ遠を賤することなかれ 遠に慣熟なるべし


 近を賤することなかれ近を貴することなかれ近に慣熟なるべし


 目をかろくすることなかれ目をおもくすることなかれ

 耳をおもくすることなかれ耳をかろくすることなかれ


 耳目をして聡明ならしむべし」


のんびりした一日だったが13時から17時の3時間はネット接続ができたので「近代的な時間の流れ」でした。


どちらがいい、というのではありません。

慣熟して聡明ならしむべし、何気なく選んだ今週の正法眼蔵の言葉が早くも心に響いてきました。

ネットがいいわけでもないし、悪いわけでもない、貴賤を決めつけて二者択一にするのでなく、その対象に親しみ、見極めて聡明に判断していきたいものです。


考えてみると日常生活でどっちがいい悪いって決めつけてること、いっぱいあります。

僕が永平寺でとても尊敬していた雲水は、ミスをした同安居のことを決して悪く言わないのは勿論、みんなが嫌うような先輩に対しても愚痴をこぼしたり評価したりしませんでした。口に出すとつい対象にレッテルをはってしまいがちです。


日本人は意見をはっきり言わないといわれますが、常に対象にニュートラル接することができる工夫のひとつとしての寡黙さは評価されるべきであると思います。


ーーーーーーーーーー2011517日(火)ーーーーーーーーーー


朝から禅道場へいってきました。


730にスタート。720頃に着いて荷物を置くと木版が鳴りだしました。

坐蒲とブランケット(床は畳でなく固い木なので坐蒲の下に敷く)を持ってカーテンのようなツイタテと障子、風の板で仕切られた僧堂内に入ります。


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今日の参加者は土曜日より少し年齢層は高いが僕より若そうな人もいます。

みんな黒い綿の衣を着ていて髪を剃っている人は一人もいません。

先日仲良くなり、坐禅指導をしてくれた長髪の若者、セバスチャンが既に坐っていました。

彼はここに5年ほど通っているとのこと。


平日の朝だけれども十人の参加者がいるというのはとても素晴らしいことです。


AZIという大きな禅のグループがヨーロッパにはあります。

1967年に渡欧して、欧州で禅を広めた弟子丸泰仙老師という禅僧が設立したグループです。

この道場も泰仙老師のドイツ人のお弟子さんが運営しているようです。


禅定に入るとほどなく止静の鐘が三回鳴って一目がスタートしました。

経行終わって二炷目も坐ります。

途中で警策がまわり、誰かが叩かれました。


わりと激しい音がして迫力があります。僕は叩かれなかったけれども誰の判断でどうやって叩いているのかすごく興味があります。

そうだよな、日本でも初めて坐禅に来る人はそう思うよな、と初心を思い出しました。


終わりの方になって参加者の中で一番古参らしい女性がなにやら話し始めます。

坐禅の解説のようなことをいっているのだけれども詳しくは聞き取れません。

やはりドイツ語の学習は急務です。


朝課(http://unsui.net/dictionary/c/_choka.html)が終わったあとは和やかなtea timeがありました。

みんな本当に優しい笑顔で迎えてくれます。今日は次の予定があったので参加できませんがtea timeにも次は参加しようと思います。

なにやら盛り上がっているが週末にハンブルグであるという摂心(http://unsui.net/dictionary/s/sessin.html)の話のようです。


いずれ参加することになるのでしょうか、とても楽しみです。


ーーーーーーーーーー2011518日(水)ーーーーーーーーーー


引越しの日。

朝のうちにお世話になったTeaさんのアパートから荷物をまとめておきました。

妻は朝から友人とHackescher Marktという駅で待ち合わせをしてヨガへいくみたいです。

このHackescher Marktという駅は新しいお店が集まっているベルリンのおしゃれスポット。毎日作務衣と雪駄の雲水には縁のないスポットであります!


独りで家でお世話になったシーツや枕カバーの選択をすませ、ヨガの終わる頃に歩いてHackescher Marktに行きました。

三人でベトナム料理を食べ、teaさんのアパートに最後の帰宅です。


掃除が行き届いているか、物は整っているか、忘れ物はないか、などなど最終チェック。大きなスーツケースと、小ぶりのトロッター、中くらいのキャリーバックに大小のリュックひとつずつとギター(と中に入った警策)が僕らの家財道具一式。ちょうどよく現れたTAXIを拾ってホストファミリーのStephanの家へ向かいました。


Stephanは北東の子供の多いメルヒェンな地区に住んでいます。

一足先に現地で待っていてくれたオープンホームプロジェクトの泰代さんと合流してStephan家族に会いました。

奥さんのLiv、お姉ちゃんのMia7歳、Ryu4歳とStephanの四人家族です。これから約一ヶ月間、VISAを取得するまでの間いろいろとお世話になるのです。展坐具三拝(実際は勿論してません・・・)。


フレッシュなサラダとパンのドイツ流の夕食で迎えてくれました。

Stephanのお母さんは日本人で、Stephan一家は誰も日本語が喋れないものの日本への関心は高く、色々なことを知っているし松の植木鉢(盆栽とは言いづらい・・・)やこけし、Qooのポーチや禅の本など日本を連想させるものが部屋のあちこちにあります。


子供達は想像を絶するかわいさ。

両親の性格が影響しているのでしょう、元気いっぱいだけれども決して暴れたりはせず優しさが伺えます。

恥ずかしがっているけれども友好的にドイツ語でコミュニケーションをとってくるので本当にキュートすぎ!


やっぱりとにもかくにも「伝わるドイツ語」を身につけなければ。

子供達と話をするのが国際交流の第一歩です。


今日は妻の誕生日でした。

こっそりと墨をすって一枚の半紙に想いを描き、ベッドの上においておきました。

目を潤ませてぎゅっとしてくれました。いつだったか

「男の子はプレゼントに何がほしいの?」

と言われて答えが思い浮かばず

「女の子はどうなの?」

と聞いたら女の子は心がこもっていたら何でもうれしいんだよ、と言っていたのが頭に浮かびました。

本当に半紙一枚しか渡してあげられなかったことを申し訳なく思う、それでも心から喜んでくれている。


涙と一緒に感謝が溢れてきました。




ーーーーーーーーーー2011519日(木)ーーーーーーーーーー


モノゴトが急に動きだした気がします。

やらないといけないことがたくさん見えてきたら、とにかく不安でしかたがなくなってきました。

永平寺の山門に立った時もここまで不安ではありませんでした。

きっと今までの人生で向きあわないようにしていたものが一気に襲いかかってきたんでしょう。


昼過ぎからNYの友人の飼い猫の49日の法要を準備しました。


Skype経由でやる予定だったけれどもちょうど前日に友人のパソコンが壊れてしまったので予定通りニューヨーク時間の朝9時(ベルリン時間15時)に、部屋で独り、静かに経を挙げ祈りました。インターネットがなくてもつながるものがあります。地球の反対側でも心は一つ。



ーーーーーーーーーー2011520日(金)ーーーーーーーーーー


日本の食材がいっぱいおいてあるAsian Marktに行ってアジアの食材を買ってきました。

早速料理してみんなに振る舞いました。


ベルリンにはSUSHIをはじめ多くの日本風のお店がありますが、日本以外の国の人が運営している場合が多いです。

味も外観も日本のそれとはだいぶ違うが、この地にあうように各国の人が独自の工夫をこらしたもので、それはそれでよいと思います。


でもやっぱり典座教訓・赴粥飯法の心をなんとかして伝えたいです。

買って帰った昆布とシイタケで早速出汁をとりました。


シイタケ典座。


ーーーーーーーーーー2011521日(土)ーーーーーーーーーー


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子供達と大人達と湖に行って遊びました。カエルも魚もいっぱいいました。

何もないところでも子供達は走って泳いで、身体をめいっぱい動かして遊びます。


この自然を何代も後の子孫にも残してやりたい。心からそう思いました。

そう考えると進歩や発展なんかどうでもよくなってくるよ。

そう思うと放射能をまきちらしてしまったことが申し訳なく、腹が立ってきました。


ーーーーーーーーーー2011522日(日)ーーーーーーーーーー


今日も子供達と別の湖に行って泳ぎました。


子供達の輝く目を見ていると、だんだん不安が変化していきます。

彼らは伝わらない言葉でも臆することなく心を通わせようとします。

一緒にその場を共有すれば十分。言葉はいらない。


勇気と希望と責任感に溢れてきました

ありがとうキッズたち!



2011/05/29  by

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