写真家 野崎悠の「悠悠自適」

知らない瞬間


人間の視覚を"静止画"か"動画"かと言われれば"動画"だと思います。
常に目の前の映像は動いているわけです。
テレビやビデオなどは1秒間に30~60フレーム。
要するに1秒間に静止画が30~60枚あってそれを連続して見ると動いてみえる。
パラパラ漫画のような感じです。

では人間の視覚を動画とした場合、どのぐらい細かく瞬間を
分けることが出来ているでしょうか?、人が笑顔になる瞬間を見たとして、
どのぐらい細かく表情の動きを覚えていますか?口、ほっぺた、目、姿勢。
時と場合によりますが、そんなに細かくとらえて覚えてはいないと思います。

何を言いたいかと言いますと。
動的に人間は見ているけれど自分が記憶し、
知っている人の表情は意外と少ないかもしれないと言うことです。
これでも意味わからないですよね。写真と絡めてお話します。


愛犬"遥"の成長記録を撮るために2002年にコンパクトデジカメを買いました。
その当時ではなかなか良いものでしたが、
最近のコンパクトデジカメと比べたら、それはそれはピント合わせるのは遅い。
動いている犬をよくこのカメラで撮れたと未だに自分が驚きます。たとえばこの1枚

syunkan001.jpg

上手いこと撮れているものです。
でもこの表情や"悠悠自適"のタイトルの寝ている表情。
これは自分の記憶にも同じ顔が存在しています。覚えています。

下の写真は、一眼デジカメを購入した次の日に撮影した左二枚。
撮った瞬間驚きました。毎日たくさん遥の顔を見てきたのに
この写真に写った表情は記憶にありません。
その瞬間ファインダーから覗いて見ていたはずなのに。
縦の写真も同じ。

1番右のおばあちゃんの写真もずっと見てきていたのに
知らない表情が写りました。

syunkan002.jpg

いつも見ているのに実は自分の頭には記憶していない知らない表情が存在する。
それを写真というもので知ることが出来ました。

知らない瞬間。新たな発見。おもしろい。

2009/10/03

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