≪営業先のダンスホール。ぴかぴかのフロアが踊り心をくすぐります。≫
みなさん、こんにちは。
僕は、社交ダンスを教えるという仕事をしています。
社交ダンスに限らず、人に何かを教えるということは、とても奥が深いことですよね。
マニュアルがない行為。
あったとしても、そのまま使えない。
自分だけの「教えるスタイル」を獲得するしかない。
そんな行為だと思っています。
だから。
いつも手探りです。
実験です。
なので。
「教えている」というよりも「教えさせてもらっている」という感じです。
教えさせてもらうことによって、自分の引出しを増やしているというか。
新たな対応の仕方を教わるというか。
「こういう言葉使いをした方が伝わりやすいのかな」とか、
「こういう例えを出した方が記憶に残りやすいのかな」とかを考えます。
こういうことを繰り返して、自分だけの「教えるスタイル」を育てていくんだと思います。
酵母を入れたビールが、こぽこぽと醸成していくように。
僕は、物事を根源的に考えたいと思っている方なので、
社交ダンスを教えるにあたっても、
「社交ダンスを教えるって、どういうことだ?」
みたいなことを考えてしまいます。
「そもそも教えるって何?」
みたいなことに、必ず行き着いてしまいます。
はっきり言って、今も良く分かりません。
ただ、今の時点で分かっていること。
ぼんやりと「教えるってこういうことかも?」的に思っていることは。
その時その時によって、
自分が何を教えようとしているのか、相手が何を教わろうとしているのか、
が変わってくるということ。
それと。
何を教えたいか、何を教わりたいかを、
ピンポイントで言葉にして相手に表明することは、意外に難しいということ。
この2つくらいです。
特に2つ目。
これは、すごいおもしろい点だと思います。
「何か聞きたいことがありますか?」
と聞いても、ずばっ!と言える人はほとんどいません。
僕も教わる時には、言えないことが多いと思います。
「決してうまくいった実感はないんだけど、何て聞いていいか分からない。」
それが正直なところだと思います。
言えるとすれば、
「このステップの、この辺のタイミングの、この身体の使い方が良く分からない。」
という表現です。
これは、模範解答だと思います。
しかし、とても解釈の幅の広い表現です。
聞き手の数だけアドヴァイスの数もあると思います。
だから。
こういう時、僕は、
「相手が聞きたいと思っているところの周辺」を探って、
「この辺ですか?」というような応答をして、
聞きたいことの中身を徐々に特定していくようにしています。
整体師が「ここ、痛くないですか?」と聞きながら、マッサージするのに似てますね。
たぶん、そうやることで、お互いの認識がすり合わされて、
「今、自分たちはこれについて練習してるんだな。」という目的意識が生まれると思います。
僕は、社交ダンス教師という仕事の良い所の1つは、1対1の関係という点だと思っています。
自分1人 と 相手1人。
自分1人 対 大勢 ではなくて(もちろんそういうクラスもありますが)。
社交ダンスが、基本的に1人の男と1人の女が踊るようにできているから、
それは当然なんですが。
そういう関係性だから、相手をじっくり見つめることができる。
不特定多数の「お客さん」を効率良くさばく、という発想ではなくて。
特定の1人の相手の特徴を考えて、その人に合った言葉使いや助言を考える。
そういう配慮の精神が養われる仕事だと思います。
とても素敵な仕事だと思います。
常にマンツーマンだから、お互いの認識のすり合わせに、じっくりと時間をかけられる。
言葉を使って、身体を使って、お互いの認識を接近させていく。
そんな営みが、社交ダンスの世界にはあるようです。
人に何かを教える。
それについて学ぶ機会に恵まれている世界なのかもしれません。
今回はこの辺でzzz
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