配属が変わり、別の寮舎に配属される事を転役という。

永平寺にはたくさんの寮舎があり、それぞれ従事する公務が全く異なるため転役が安居生活を大きく変える重大な出来事になる。概ね三ヶ月から六ヶ月で次の寮舎へ転役する。

雲水が転役先の寮舎を希望することはできず、また能力によって転役が左右されることもない。全て役寮さんの独断によって転役先は決められる。

従ってシャバで料理人をやっていて調理師の免許を持っていたとしても永平寺の台所である庫院に転役することがなかった、といったことも十分考えられる。どこの寮舎に配属されても仏道修行をひたすら精進する、という精神が現れている。

どこからともなく噂が流れることもあるが、転役がある日は基本的には雲水に知らされることはなく、朝の僧堂飯台の後、僧堂にいる全雲水に維那和尚から突然「転役告報」として告げられる。このとき今回の転役で誰がどこの寮舎に行くかなど詳細がわかる。その後全山放送で同様に転役告報が流され、山内はてんやわんやすることになる。